文系PhDの日常

実学から遠い文系;博士号ほしい;海外留学中

アカデミアの日常を小説から垣間見る

ということで、PhD生、講師、(助)教授の日常がどんなものかを疑似体験できるような小説をご紹介したいと思います。

一作目は『喜嶋先生の静かな世界』(森博嗣講談社文庫)。これは理系の主人公が学部に入り、修士課程に入り、大学で働き始め、という生活を追った小説です(ちなみに現在、(助)教授職に就いている先生方の時代には、博士号をとる前に働き始めるのが普通でした)。わたしは文系ですが、共感できる箇所がたくさんあります。何といっても、作品全体に通底している静けさが、学問と真摯に向き合うアカデミアの雰囲気をよく表していると思っています。

ちなみに作者・森博嗣氏はご自身も研究者なので、他にも研究者が出てくる作品が多くありますね、『彼女は一人で歩くのか?』(講談社タイガ)とか。近年アニメ・ドラマになった『すべてがFになる』(講談社文庫)も、犀川先生という研究者が主人公(の一人)で、大学での研究風景がよく出てきますね。あと、森氏のブログをまとめた『すべてがEになる』(幻冬舎文庫)も、森氏自身の研究生活が伺われる箇所があります。

二作目は『ポスドク!』(高殿円新潮文庫)。これは博士号取得後に非常勤講師として大学に勤める主人公の極貧生活をコミカルに描いたものです。『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎、光文社新書)の著者・前野氏もご経験された、「博士号取得後に金がない/正規雇用してもらえない」という、いわゆるポスドク問題を扱った小説です。エンタメ系なので、楽しい気分で読める小説だと思います(主人公の極貧生活は、自分もこうなるかもとリアルに恐ろしいですが)。

三作目は『魔女の目覚め』(デボラ・ハークネス、中西和美訳、ヴィレッジブックス)。これは魔女や吸血鬼が出てくるファンタジー小説ですが、主人公が中世史研究者で、序盤、オックスフォード、ボドリアン図書館の写本コーナーに詰めて研究している様子が好きです。写本いいですね。ボドリアン図書館たまらなくいいですね。物語が展開すると、そうですね、特に普通の研究生活はしないですけど(笑)。魔法とかファンタジーが好きでしたら、楽しいと思います。

最後に番外編ということで、『文系ストレイシープのための研究生活ガイド』(家入葉子、ひつじ書房)について。これは家入氏がご自身の経験を踏まえ、研究生活の様々な面に渡ってのアドバイスを綴っておられる本です。情報整理術等の実践的スキルについても書いてありますが、家入氏自身の留学生活についての記述も多く、海外留学して博士号をとることについて雰囲気を知ることができると思います。どちらかというと、現在博士課程にいる人、進学に迷っている人、海外での博士号取得に迷っている人に読んでみて欲しい一冊と言えます。(ところどころ情報が古くなっていますが……2005年出版なので。わたしはシリーズの『文系ストレイシープのための研究生活ガイド 心持ち編』と併せて手元に置いて、たまに読み返しています。

では、今日はこんなところで。