文系PhDの日常

実学から遠い文系;博士号ほしい;海外留学中

九州工業大のアカハラについて、現役大学院生が考える:背景編

こんにちは、はたえるどです。

ちょっと暗い話題ですが、珍しく時事ネタを。

 

九州工業大で助教授(教授の一個下のポジション)が学生を暴行。ばっちりニュースになりました。

news.livedoor.com

学生が実験に失敗したという理由で怒りに任せて鉄棒で頭を殴り、しかも自分が殴ったということは口外するなと言い含めたそう。

ありえん……。

 

ちなみに、こういう大学・研究関連のハラスメント(これはもはや暴力事件ですが……)を「アカデミック・ハラスメント」、通称「アカハラ」と言います。

 

暴力の形をとることもあれば、実験器具を壊されて研究を阻止される、推薦状を書いてもらえない、といった目に見えにくいケースもあります。

 

日本で学部生・院生生活を送った身からすると、これは全く他人事ではありません。

こうやって目に見える形で露見してニュースになるのは、氷山の一角でしょう。

 

こういうハラスメントは、今は通報システム等が整備されてきていますが、大学の研究室という特殊な世界でアカハラが撲滅されるのはまだまだ難しいと思います。

特に、院生と指導教官の関係は特殊になりやすい。院生が、研究者としてアカデミックな世界に残りたい、大学に就職したいと思うのならなおさらです。

 

このような、院生へのアカハラがなくならず、しかも明るみにでにくい背景 、

現役の院生の私が思うその理由は、

① 研究室において、指導教官は神だから;

② 研究生活は時間との闘いだから;

③ 教官同士のつながりが強いから

です。

 

① 研究室における指導教官は神

というには言い過ぎかもしれませんが、権限が非常に強いのは否めません。

院生は、学校に提出するあらゆる書類に先生の署名とハンコを頂かないと、そもそも大学で生きて行けません。大学を途中で去りたいときも、先生の署名とハンコをもらわねばなりません。学外の研究資金を獲得したい?留学に行きたい?それにも先生の署名とハンコが必要ですね〜。

となると、院生としても先生とのコミュニケーションをスムーズに保つのが無難ということになります。なので、先生が「今度、海外からのゲストのアテンドして(無給)」と仰ったら院生は素直に「はい」と頷くのです。だって、先生がそう仰ったのですよ?これも経験と思って修行に励むのです。

 

② 研究生活は時間との闘いだから

研究生活では常に効率的なタイムマネジメントが求められます。なぜなら、最短の時間で最大の成果をあげた人から、就職が決まっていくからです(もちろん他の要因もありますが)。

となると、先生と揉めるのは時間がかかりすぎます。アカハラを相談・通報してから、先生との和平条約締結に一年間かかり、その間研究指導がストップするのは、大きすぎるタイムロスです。そうすると、院生としても「先生はちょっと理不尽なことを仰っている気がするが、とりあえずやり過ごそう」という思考になりがちかと思います。

 

③ 教官同士のつながりが強いから

最近はアカハラ対策の一環として、学科内の決められた教員に相談できる制度があることもあります。しかし、相談員の先生はアカハラ先生と同僚であることも少なくない。もう、うん十年一緒にやってきた、みたいな関係性があることもあるわけです。

そういう人に相談して、何もかも打ち明けられますか?

そうでなくても、専門が同じ先生は全国津々浦々つながっています。

もし、何かの拍子に「はたえるどさんは指導教官の先生と揉めてるらしいよ」と情報が洩れたら、先生ネットワークを通じて一気に情報が広まる可能性があります。もし、研究者として大学に就職したかったら、この情報は不利に働き得ますよね。

となると、院生はアクションを起こしにくくなってしまうわけです。

 

以上のように

・様々な不利益を想定して、院生の側が言い出さない(今回、九州工業大の事件でも、学生本人は「自分が実験に失敗したから大学には言わないで欲しい」と言ったそうです)

・相談体制の不備

といった背景もあって、アカハラの実態が分かりにくく、隠れた問題になっていると思います。

 

明日は、「提言編」と題して、海外留学先の研究所の制度等で「これはいいんじゃないか」というものをまとめたいと思います。

 

今日はこんなところで。

 

もし、実際にアカハラに悩んでいる人がいたら、以下のコラム等参考にしてみてください。

menhera.jp