文系PhDの日常

実学から遠い文系;博士号ほしい;海外留学中

九州工業大のアカハラについて、現役大学院生が考える:提言編

こんにちは、はたえるどです。

九州工業大で、助教が学生を鉄棒で殴ったというアカハラ事件によせて

昨日は「背景編」と称して、研究室でのアカハラ撲滅が難しいのは、こんな理由があるからではないかという所見を綴りました。

私は大変幸運なことに、今まで指導教官に恵まれ、アカハラにあったことはありません。が、決して珍しいことではないのは知っています。

 

今日は、現在海外の研究所に留学している身として、「日本でもこういう制度を採り入れたら、少しは環境改善に役立つのでは?」ということを提案したいと思います。

 

 

1.複数教員による指導体制

私が在籍している研究所では、指導教官が二名いないとそもそも博士後期課程を始められません。

指導教官のうち一人はメインの指導教官で、日頃指導してくれる人、もう一人がその上の上司、という感じです。二人目の指導教官は、日常的に接するわけではありませんが、重要な意思決定があれば同席しますし、何かこちらから話したい事があれば、コンタクトをとれます。

なので、もし一人目の指導教官と対立するような事態になった場合は、二人目の指導教官に相談もできますし、推薦状を出してもらうこともできます。

このように、一人の指導教官に依存しない指導体制は、中立性を担保するという視点から大切だと思います。

 

2.年に一度、記録をとってミーティングを行う

研究所では、年度ごとに研究の進捗や指導体制について話し合うミーティングを必ず行います。出席するのは、学生本人、二人の指導教官、研究所の職員(記録係)、そしてPhDコーチと呼ばれる立場の人です。

PhDコーチは、普段は院生生活の支援をしてくれるスタッフさんですが、このミーティングでは、院生・教員・研究所のどれにも属さない中立的な証言者として参加します。

このミーティングの内容は記録されますので、もし何か一対一の環境、あるいは教員対学生の環境では言えないことがあった場合、ここで持ち出して記録に残すことができます。これは、学生にとってはもちろんですが、指導教官にとっても、身を守る術になると思います。

また、中立の立場の人がいること、そもそもミーティングに参加する人数が多いことから、様々な意見が出やすく、学生が孤立する危険性が少ないと言えるでしょう。

 

3.複数レベルの相談窓口の設置

研究所には、私が知っている限り、最大4つのレベルの相談窓口が存在します。

①研究所の管理部門、②研究所内で相談員を兼任している教員、③学科レベルの相談員(専門の職員)、④大学レベルの相談員(学外委託)です。

これは、研究所に相談したら、次に学科の相談員のところに行って……というシステムではなく、どこでも自分の好きなところに行くことができます。

例えば、研究所内でちょっとした問題があり、研究所の内情をよく分かっている人に話を聞いて欲しい、と思えば「②研究所内で相談員を兼任している教員」に話しに行くことができ、先生の同僚に話すのは不安、と思う要素があれば、より高いレベルの相談員に話しに行くことができます。

このような色々なレベルの相談員を用意することで、アカハラを相談しやすい環境が整うと思います。

また、相談員が大学にいることは、オリエンテーションで説明されますし、実際に相談員の方がいらっしゃって「何かあったら、私に言って下さい」と言ってくれます。

このように、一度顔を見た人物に相談できるというのも、安心感があると思います。

 

しかし、こんなにサポート体制がしっかりしているように見えても、問題は起こるわけで……(PhDホラー - 文系PhDの日常参照)。

 

少なくとも、何もなければ無事に卒業・修了できます、というシステムではなく、研究指導のような密な人間関係では何か起こるものだ、という想定から始まり、実際に何かあったら学生も教員も身を守れるシステムを導入することが必要だと思っています。

 

今日はこんなところで。

 

現在アカハラに悩んでいる人は、NPOアカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク(NAAH)という団体もあるそうですよ。