文系PhDの日常

実学から遠い文系;博士号ほしい;海外留学中

読了本!『かくかくしかじか』東村アキコ

以前から気になっていた『かくかくしかじか』を読みました!

 

 

これは東村さんの絵がポップな感じということもあって、何となく「高校生、美術部、青春」みたいなコメディー作品かと思っていたのですが

若者のエゴと肥大化した自意識と裏切りと懺悔

みたいな重い自伝マンガでした。

 

最初の方はね、楽しい感じなんですよ。

漫画家になるために美大進学を考える高校時代の東村さんが、絵画教室で鬼のような日高先生に竹刀でしごかれて、無事美大に合格します。

このへんは微笑ましい。

 

ところが、入学後の東村さんは「在学中にマンガ賞を受賞してデビュー♡」という高校時代の夢を叶えることなく、スランプに陥って絵が描けなくなる。授業をさぼる。就職も決まらない。地元に帰り、親のコネで何とかコールセンターに就職……等、苦しい時期が続きます。

東村さんはその時々で、日高先生に尻を叩かれながら、無理やり絵を描かされながら、バイトとして雇ってもらいながら絵を描き続け、二人は関係を深めていきます、

 

でも何よりも辛いのは、東村さんが漫画家として売れ始めてからの話かな。

先生のお願いのために漫画家として順調な仕事を止めて宮崎に帰るか……私が同じ立場だったとして先生のお願いを聞くことができただろうか……。でも先生のお願いを聞かないということは、先生の信頼や期待を裏切ることでもあり、でも所詮人生は自分のもので、でも先生に恩があるし……本当に何度考えても苦しく、難しい問いです。

 

まあこのあたりの詳しい事情は是非マンガを読んで確かめてもらえたらと思うのですが、こういう自分の暗く嫌な面をまっすぐ見つめて、何千何万の読者に正直に晒すのは本当に勇気の要ることだったと思います。

 

個人的には西村君の話も結構痛かった。最後にさらっと書いてありましたけど。

 

というわけでポップな表紙に反して非常にシビアで重い内容の、読み応えのあるマンガでした。

 

 

 

 美大つながりと言えば王道『ハチミツとクローバー』も外せないですが、既読の方も多いと思うので、それ以外でおすすめなのは『マスタード・チョコレート』。

 

ほんわかした話です。人見知りの女の子が、美大受験・通学を通して心を開いていく話。一つ一つの話はさらっと読めると思います。

 

作中にちょろっと出てくる『ママはテンパリスト』もおすすめです。

 

 

東村さんの子育てエッセイですが、ごっちゃん(息子さん)のキャラ、東村さんのぶっちゃけっぷりが素晴らしいです。

育児のノウハウやハウツーは描かないようにした、とあとがきに書いてある通りで、別に育児の何たるかに興味はなくても、母子の日常の面白場面集みたいな感じで楽しめると思います。

 

興味がある本があったら手に取って頂けたら嬉しいです。

 

 

では、今日はこんなところで。